• 本番に超強い自分になれる!

  • 自分の感情を観察する「瞑想」

    • ○練習ではシュートが入るのに本番のゲームでは途端に入らななくなる。これは何が変わったのだろうか?変わってしまったのは自分の内側だ。正確に言えば、自分の外側の変化に伴って自分の平静な内面が乱れてしまったのだ。
    • ○ここで大切なのは、自分の内面が「どのように変化したのか」を観察することだ。自分の内面ではどんな感情が渦巻いているのか観察してみよう。
    • ○自己分析を行い「無意識は勝手なことをする」ということを理解することがメンタルを鍛えるための第一歩だ。
    • ○自分が何を思うかを一歩下がったところから観てみるのだ。これを内観という。
    • ○この「内観」をできる人は世界中であなた一人しかいない。自分の内面を客観的に観察するのは自分のメンタルを鍛えるのに欠かせないプロセスです。
  • 認知の歪みを理解しよう

    •  ○人間には本人の中で育ってきた中で強固にこびりついてしまった極端な思考の癖がある。
    •  ○完全主義、マイナス思考、現実はこうあらればならぬという思考など、私たちは偏った信念や思い込みによって自分を縛り、パフォーマンスを低下させている。偏った自分の思考を把握することで、不安や混乱から自分を救い出しやすくなるのだ。
  • 物事の両面を見るプラス思考のトレーニング

    • ○プラス思考とは物事の良い面に注目していくことだと考えられているが、これは偽のポジティブシンキングだ。
    • ○真のポジティブシンキングは「相手は確かに強い。だがこいったウィークポイントがある。対して私もこういった弱みはあるが、こういった強みがあり戦うことができる。なすべきことを成せば勝つ見込みは十分にある。
    • ○というように、良い面と悪い面の両方を把握して無意識を落ち着かせる。ネガティブさから意図的に目をそらすのではなく、現実をありのままで受け入れることができるなら、無意識は平静さを保ってくれるのだ。
  • ストレストレーニング

    • 起こってしまっている現実と無理に戦う時にストレスは現れる。
    • すでに起こってしまった現実に反発して戦いを挑んでも、現実は何も変わらずに自分が日僕するだけだ。ストレスとは「現実とはこうあるべきでない!」という形で、怒っていることをありのままで受け入れられない時の心の乱れなのだ。
    • 私たちを苦しめているのは現実でなく、現実に対する自分の「考え方」だ。
  • 予測力を上げるイメージトレーニング

    • 私たちは「理解していること」「知っていること」を現実として受け入れることはできる。たとえそれが困難で理不尽な状況だとしてもあらかじめそれを知っていることのように受け入れること、つまり「覚悟」ができていれば、落ち着いたメンタルでことに当たれる。
    • だが、「理解不能なこと」や「知らないこと」に直面してしまうと、私たちは混乱して脳に大きな負荷がかかり、現実をうまく処理できずに精神的に大きく乱れる。
  • 無意識の支配を制御するセルフトーク

    • 自分に対する言葉がけによって自分の構えを守ることが可能だ。
    • 自己暗示と集中力の維持という側面がある。



成功の法則について

  • 誰にでもできるけど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則

    • ○いますぐ始める
    • ○ものの見方を変える
    • ○自分を信じる
    • ○人生を自分で創る
    • ○ゴールを達成する
    • ○人生を楽しむ
    • ○恐れを克服する
    • ○困難を乗り越える
    • ○行動する
    • ○成功の道具を使う
  • ものの見方をかえる

  • ありのままを受け入れる

  • 自分で自分をほめる

  • 得るもの失うものを書く(61)

    • やる気を維持するためには楽しいことがなければならない。あきらめず頑張ってゴールに到達できたらどんないいことが待っているか考えそれをノートに書いてみる。とにかく思いつく限り書いてみる
    • そして結果に意識を向け、やる気を維持しよう。そしてすばらしい人生を送ろう(62)
    • そして次にページに達成できない場合に味わうであろう苦痛をすべて書いてみる。あなたは何を失うだろう?取り組む姿勢を失ってしまった場合、結果はどうなるだろう?
  • ゴールをめざして真剣に取り組む(58)

    • 成功している人とその他大勢との決定的な違いは、成功している人は自分の夢やゴールをめざして真剣に取り組んでいる点だ。成功している人は、ちょっとつまづいたからといってすぐにあきらめたりしない。最後までやり通す。怠けたり先にのばしたりしない。あきらめずに努力を続ける覚悟がある。成功させるためには全身全霊で取り組まなければならない。取り組む気持ちが強い人だけが成功し、他の全ての人々は失敗するとさえ言える。自分の持てる力をすべて使おう。
  • 自分のするべきことをする(47)

    • 恐怖は夢の唯一にして最大の敵であり、他のどんなものより私たちの夢の実現を妨げている。恐怖は判断力を奪い、事態はますます複雑になる。思考力や問題解決能力までも危機に瀕している。恐怖を通り過ぎるための行動を起こさなければならない。そのための方法は、自分のすべきことをきちんとすれば全てはうまくいくと信じることだ。どんな状況であっても私たちにすべきことは必ずあり、私たちはそれを進んで行わなくてはならないのだ。


  • 失敗など存在しない(51)

    • 失敗というものはない。どんな行動にも必ず成果がある。期待していた成果とは違うかもしれないが、成果であることに変わりがない。成功と無縁の人々は困難を失敗と考える。成功した人は困難を一時的な後退、または貴重な経験としてとらえる。
  • 臨んだ結果を得るまで行動する(51)

    • とにかく行動し、うまくいかない方法を捨て、うまくいく方法をみつけて行こう。
  • 完璧でなくても気にしない(49)

    • 恐怖は3つのカテゴリーのうちのどれかにあてはる場合が多い。「失敗する恐怖」「傷つく恐怖」「完璧にできない恐怖」の3つだ。最後の「完璧にできない恐怖」とは全てを完璧にやならければならないという思い込みのために何かに挑戦するのを躊躇してしまうことだ。過度に批判的になる習慣が身に付いてしまっている。この恐怖に打ち勝つ最も簡単な方法は完璧にできなくても気にしないことだ。必要な技術や能力を身につけるまではうまくいかなくてもしかたがない。


  • 理想の自分になったつもりになってみる

    • すでに目標を達成したかのように振る舞ってみよう。
    • ノートに夢の実現を妨げている『できないという思い込みを』3つ書いてみよう。次に持ちたいと思っている信念を3つから5つ書いてみよう。現在の状況を改善するためにはどんな信念が必要だろう?そしてなると決めた新しい自分になったつもりになろう。
  • 完璧な人でなく完璧な自分になる

    • あなたは完璧な人にはなれないが、完璧な自分にはなれる。人は常に変化し、成長し、進化し、磨かれていく。自分の人生の中で変えたい所が決まれば、成功への道をすでに歩き出したことになる。何を変えたいか紙に書いてみよう。
  • 感謝の気持ちを持つ

    • 前向きな態度に変える最短の方法は感謝の日記をつけること。今日は何に感謝しよう?と自分に尋ねることだ。
  • 自分は状況を変えられると信じる

  • 自分はできると思おう

    • かつて失敗しただけで絶対にできないと思い込み、その場で足踏みしていないだろうか?新しいことに挑戦するのを避けてはいないだろうか?できないという思い込みだけで行動していないだろうか?そのために最小限の努力しかしない。そのために行動も限られたものになり、結果も限られたものになる。信じる心と行動が一緒になればすばらしい結果が待っている。
  • 自分を信じる(50)

    • かつて失敗しただけで絶対にできないと思い込み、その場で足踏みしていないだろうか?できないないという思い込みだけで新しいことに挑戦することを避けてはいないだろうか?
    • 自分が成功すると信じれば、成功できるのである。目標を達成できる自分の能力を信じれば、その信念は現実の世界でも形をもつ。
    • 潜在意識は現実と想像の区別をつけることができない。できると確信していることは必ず達成できる。これはずっと昔から言われていることだ。とにかく実行してみよう。失うものは何もないし、成功すれば全てが手に入る。
    • 潜在意識は現実と想像の区別をつけることができない。論理と想像が争えば想像が勝利をおさめる。この想像の持つ力を自分に有利になるように活用しよう。
    • なりたい自分を細部まで詳しく思い描く。色、香り、音などなんでもとにかくできる限り細かい要素まで想像する。繰り返します、潜在意識は現実と想像を区別できません。潜在意識は想像を信じ、あなたを成功に導くます。
  • すべてうまくいくと信じる(55)

    • 恐怖に打ち勝つ最善の方法は、強く揺るぎない信念をもつことだ。信念とはたとえ結果がまだわかならくても、全てはうまくいくと確信することだ。信念とは、どんな状況でも臨んだ結果が得られると、証拠がなくても信じることだ。心から信じることだ。
    • しかし、信念が本物かどうか試されることがある。困難に直面した時、ゴールに集中し、自分でできることをやり、後は「人事を尽くして天命を待つ」ことだ。うまくいく信じていれば、必ずうまくいく。 
    • 自分はそれほど信じやすくない、もっと懐疑的だ、と感じることもあるだろう。だが、それはナンセンスだ。懐疑的なものから何も生まれないし、信じることで何も失わない。成功を信じよう。成功するかどうかは信じる程度に比例する。


  • 成功ピラミッドの「環」

  •  

メンタルシート

8つのメンタルスキル

①目標設定スキル(結果の目標と経過の目標)
②セルフコントロールスキル(リラクセーションとサキングアップ)
③セルフイメージスキル(自信:セルフコンフィデンスConfidence)
④集中力スキル
⑤プラス思考スキル
⑥セルフトークスキル(セルフコミュニケーション)
⑦コミュニケーションスキル
⑧イメージコントロールスキル

日野台高校男子バスケットボール部 思考力アップ

バスケットボール選手として最高のパフォーマンスを発揮するためには、
次の2つが重要になってきます。
⑴『準備が全て』
⑵『今、すべきことをする』

1)練習への準備

 日々の練習に入る前に、必ず自分に問いかけて欲しいことがあります。『今の自分は練習に参加できる良い状態か?』と。今に集中できる状態か自問自答して下さい。毎日の学校生活の様々な出来事に振り回されていませんか?宿題、課題、係活動、日直、清掃などです。しかし、練習するときは練習するのです。それ以外に何ができるというのですか!練習中にレポートは完成しないし、清掃もできません。
 練習に入る前に自分の『頭』や『心』を練習モードに切り替えるのです。シューズのひもを結んで、コートに立つときは完全にバスケットボールモードに切り替えましょう。
逆にコートを離れ勉強をする時には勉強モードにスイッチを入れ替えましょう。

2)心のブレーキをはずす

 人間は変わろうとすれば、同時に現状を維持しようとする力が無意識に働きます。これが非常に厄介なものなのです。現状のままでいることの方が心地よいと無意識に感じてしまっているのです。この心のブレーキをどう外すのか。
 一つは、『チャレンジ(挑戦)』です。今までの自分ではなく、新しい自分と出会うために過去の自分と闘うしかありません。もう一つは、『演じる』ことです。行動をおこしている自分を『よくやっている』『たいしたものだ』とほめるのです。ここでのポイントは『達成感』を感じながら活動(練習)することです。人間は、達成感を感じると心地よくなってきます。その心地よさを味わうとまた、味わいたいと頑張り始めます。このサイクルを自分中に作り上げるのです。
 ブレーキをかけるかアクセルを踏み込むかは全て自分次第です!

3)記憶の書き換え

 人間は「正しい」か「正しくない」かよりも「楽しい」か「楽しくない」かで自分の行動を決めてしまいます。さらにやっかいなのは「物事を自分の都合のいいように解釈してしまう」という習性があることです。
 練習を「やっている時」や「やり終えた時」の記憶の仕方が問われるのです。「いやだな~」「きついな~」と記憶していませんか?この記憶のままだと試合中の肝心な場面で身体が反応しません。これは無意識の反応で、記憶の仕方に問題があるのです。
 どんな練習でも自分にとって「プラス」にして、記憶するように心がけることです。練習を「きつい」と思うか、「楽しかった」と思うかは自分次第です。記憶の書き換えが自分のパフォーマンスの発揮に影響しているのです。
最後に、伸びる選手は……
最後に、伸びる選手は……
間違いなく『素直』というライフスキルをもっています。『勇気』『丁寧』もライ
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手を目指そう!

スポーツ選手に必要な精神的能力(「ゾーン」とは?)


⑴冷静沈着

まわりでどのようなことが起ころうといつでも心の中は冷静で落ち着いているといった感覚を持たなければならない。

⑵肉体的なリラクゼーション

筋肉的にリラックスした感覚を持てたときに、すばらしい力を発揮する。

⑶恐れない心

過去の出来事やこれから起こるかもしれないことに思い煩うことなく、全ての力を現在のただ一点集中しなければならない。

⑷プラス思考

絶えず良いことが起こると考えているようにしていれば本当に良いことが起きるものである。

⑸プレーを楽しむ

非常にきわどい競り合いの中でさえも、ゲームそのものを楽しめばプレーはもっとすばらしいものになる。

⑹オートマチックなプレー

どんな条件下でも自分の正しいリズムを作り上げ、それを持ち続けることは安定して実力を発揮するために必要である。

⑺油断のなさ

試合をする際、周りの様々な環境に対してあらゆる面から総合的に注意を払うこと。

⑻自信

本当に自分を信頼できればどんな状況であっても冷静沈着でいられる。自信は誰かが与えてくれるものでなく、あくまでも自分で作り上げるものである。

 ※この「自信」はスポーツ選手の持つべき精神的能力のうち最も重要なものである。しかし、この「自信」について誤った理解をしている選手やコーチが多いのも事実である。誤った理解とは「自信の大きさは、それまでの実績に比例する」ということである。試合に勝ったから自信をつけたのではなく、試合の前に何らかの手だてで自信をつけ、その結果として勝つ事ができる可能性が高まるというのが正しい。
それでは、何が自信をもたらすのだろうか?それはセルフイメージがもたらすのだ。マイナスのセルフイメージを作り上げた選手は、全く実力を発揮する事はできそうもない。日々の練習の中で築き上げた確かなスキルと、そのプロセスで得た多くの小さな成功体験の積み重ねと、セルフトーク(自分に対する声かけ)によってプラスのセルフイメージが作り上げることができるのです。

目標設定の技術

(1) あいまいな目標は、目標ではない

  • 例 「とにかくがんばろう」、「一生懸命やろう」

(2) 「天才とは、高みに登る階段を人に見せない人だ」の意味

  • はっきりとした大きな目標を立て、それを小さな目標に細分化
2トンのステーキは食べられないが、200gなら食べられる

(3) タイムラインで自分の過去を歩いて、自分の強みを再確認する
(4) タイムラインで未来を歩いて、夢や目標を確認する
(5) 結果の目標を立てたら経過の目標(実行目標)まで立てる

  • 結果の目標 → 「甲子園出場」、「・・・大学合格」
  • 経過の目標 → 月間、週間、一日、目前の目標
  • 達成に必要なことはすべて含む (睡眠、食事、休養など)

(6) 適切な目標を立てるための7つのステップ


目標達成の技術

(1) 自信の正体

1) 自信は実績に比例するのではない
2) 自信は試合や試験の後にではなく、先に持つもの
3) 成績の大きさ = 自信の大きさ = セルフイメージの大きさ

(2) セルフイメージのつくられ方

1) 他人からの言葉かけ (コミュニケーション)
2) セルフトーク

(3) セルフイメージ拡大法 目標を紙に書いて、声に出して何度も読む

具体的なメソッド

⑴明確な目標(結果の目標)と経過の目標(アクションプラン)
⑵大きな目標を小さな目標に細分化
⑶タイムラインで自分の強み(良さ)を探り、未来への夢(目標)を持つ
⑷8つのメンタルスキル

①目標設定スキル(結果の目標と経過の目標)

練習日誌

②セルフコントロールスキル(リラクセーションとサキングアップ)

ⅰ気持ちのいい挨拶:自分のためになる心理的準備です。
ⅱコートで出たら自分なりのアップ(練習)をどんどんやる。
ⅲ練習前のポジティブな会話や笑顔で雰囲気をつくる。
ⅳ練習前のコーチの話をわくわくした気持ちで聞く雰囲気をつくる。
プログラム
ⅴリラックス(呼吸法)
ⅵパートナーを決めて互いに良い点を3つほめる。
ⅶ胸をはり、上を向き気持ちをプラスにする姿勢・態度をとる。
ⅷセルフマッサージ
ⅸ大きい声をだしてストレッチ
ⅹ漸進的筋弛緩法:鼻で吸い5秒、止めて5秒手を握りしめ7秒強く
長く口から息を吐き、手の力を抜く……左手…両手…全身

③セルフイメージスキル(自信:セルフコンフィデンスConfidence)

 パフォーマンス=セルフコンフィデンス=セルフイメージ
 自信は実績は実績に比例するのではない!!
 セルフイメージは他人からの言葉とセルフトークで作られる
ⅰセルフトーク
ⅱコミュニケーション
ⅲセルフイメージ拡大法

④集中力スキル

ⅰコントロールできることできないことを明確にすること。
ⅱ過去(こうしていたら…!?)を考えない。
ⅲ未来(もしミスをしたら…!?)を考えない。
ⅳ結果を考えない。現在自分ができることに意識をもっていく。
ⅴ呼吸法:鼻から息を吸い、口から吐く。
(鼻から吸い5秒止め、口から強く長く吐く)
(目を閉じて……吐く息に意識を集中する)など
ⅵフォーカルポイント

⑤プラス思考スキル

ⅰセルフトーク(ポジティブな言葉をつぶやく)
ⅱコミュニケーション(ポジティブな言葉をかけあう)

⑥セルフトークスキル(セルフコミュニケーション)

ⅰセルフトーク(ポジティブな言葉をつぶやく)声をだす!
ⅲセルフイメージ拡大法

⑦コミュニケーションスキル

ⅱコミュニケーション
(声かけ、意思疎通『ナイスパス!』『オーケー』)

⑧イメージコントロールスキル:練習日誌を書く事で毎日イメトレを

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フロー理論の基本

フロー理論の基本となる考え方は、人の行動を課題の難易度と本人の能力(状況処理能力)との関係で捉えることによって、次のように分類し、そのなかの一つをフローゾーンに位置づけている。(ゾーンという捉え方をしているわけではないが)

・パニックゾーン: 難易度>状況処理能力 →不安、心配
・無気力ゾーン : 難易度<状況処理能力 →退屈、不安
・フローゾーン : 難易度=状況処理能力 →生き生き、集中

そのうえで、教授は「課題がいつもより少し難しく、いつもより少し余分に能力を発揮できる状況のときがいちばん集中しやすいようだ。課題が簡単すぎると退屈してしまうし、課題が難しすぎると不安になる。フローは、退屈と不安のあいだのデリケートな範囲で起こる」という。(続く)。

フローゾーンにいる人は、習熟と課題への挑戦との間をいったりきたりしています。習熟というのは、充分な知識あるいは専門的なスキルを身につけることであり、挑戦は、課題の難度を上げ、現在よりも一段と高いところにチャレンジすることです。したがって、そこには当然のことながら危険が伴う。しかし、一つ上のレベルにいきたければ、危険を避けて通るわけにはいかない。フローゾーンにいる人は、この習熟と挑戦をごく自然に繰り返している。たとえ失敗しても、そこから学び、成長していくことができる。
したがって、フリーゾーンにいることを好む人は、現状よりももっと知識を得たい、腕を磨きたいという学習意欲の高い人のことです。そしてこのような人は、「自己の成長」だけでなく、組織の成長、改革を目指す人だといえます。(続く)。
「組織のなかで、メンバーが共通のテーマに楽しんで熱中して取り組んでいる状態」をフロー組織と定義したい。そして、その結果としてハイ・パフォーマンスをあげることになるのだ。
このような組織をつくることは難しい。しかし不可能ではない。ここではその条件を探ってみたい。
さて、以上のような組織をつくるためには何を検討する必要があるだろう。

①どんなメンバーが必要か?
②どのような課題(テーマ)に取り組むか?
③メンバーの動機づけをどうするか?
④リーダーシップについてはどう考えるべきか?

フロー組織をつくるためにはどんな人材を集めるのが効果的かというチームビルディングの問題である。
その答えは、「自尊心の高い人」を集めることだ。以前にもこの欄で書いたと思うが、自尊心というと、日本では悪い意味で使われることがほとんどだ。尊大だ、プライドが高い、虚栄心が強い等々、いずれも悪い意味で使われている。そして、語尾にはたいてい「やつ」がつく。「あいつは自尊心の高いやつだ」と。
これはあべこべの使い方だ。自尊心の本来の意味は、文字通り「自分を尊ぶ心」で、過大評価することもなく、過小評価することもなく、自分自身を適正に評価し、もっとよくなろうと思う心のことだ。
すなわち、謙虚であることが第一条件であり、さらによくなろうと向上心をもつことが第二の条件である。
このような人は、他人を競争者ではなく、自分のパートナーとして考えることができる。
すなわち、自分が「成長」するためには、他人の支援を喜んで受けることができるし、一方、他人に対して喜んで支援の手を差し伸べることもできるのだ。
つまり、お互いに持っていない部分を補い合って、全体最適を考えられるチームづくりには、このような共生の生き方ができる人、すなわち「自尊心の高い人」を集めることだ。(続く)
次のテーマは、どんな課題に取り組むかだ。
たとえ自尊心の高い人を集めても、メンバーがそれぞれ独立した仕事をしているような組織では、フロー状態をつくれるかどうかは、一人ひとりの問題であり、組織の問題ではなくなる。
フロー状態をつくるためには、皆が同じテーマに取り組んで、それぞれが役割分担しているチームだ。その意味では、団体競技であるスポーツ―野球、バスケットボール、サッカー、ラグビーなど―にあてはまる。
これらのスポーツでは、よく「チーム一丸となって・・・をめざす」という表現を使う。
目標は明確だ。時間の制約もある。そのなかで、メンバー全員が自分の仕事(役割)をしっかり遂行したうえで、他のメンバーを助ける、つまりアシストすることが勝利につながるのだ。だから、これらのプレイでは、点を入れた選手だけでなく、アシストした人も評価されるのだ。
そのようなチームはフロー状態になれる。(続く)。
これらのチームに共通するのは「分業による協業」の関係だ。この概念は産業構造の文脈で語られることが多いが、ここでは、組織の中の役割分担という意味で使うことにする。
すなわち、まず、チームメンバーはそれぞれ違った役割を担う。そして、メンバー一人ひとりはそれぞれの立場でしっかりと自分の役割を果たすことが求められている。これが分業だ。
そのうえで、他のメンバーの動きを見ていて、ボールをパスするなり、守りを固めるなりして勝利という共通目標に向かって協力し合う。これが「協業」だ。
この「分業による協業」をスムーズに適格に行えるチームは強い。たとえ、スター選手がいても、一人では戦えない。他のメンバーの協力があってはじめて、そのスター選手の力が発揮できるのだ。それをメンバー全員が心得ていて、試合でそれを発揮できる。これがチームワークであり、メンバーも他のメンバーが力を発揮するのを見て喜べる。・・・これが フローの状態にある組織のことだ。 (続く) 
日本では、チームの効果性について二つの言い方がある。一つは「3人寄れば文殊の知恵」、もう一つは「烏合の衆」である。
このうち、「3人寄れば文殊の知恵」は、「Win-Winの関係をつくれば、シナジー効果がはたらいて、1+1>2という成果が期待できる」という意味で用いている。
もう一つの「烏合の衆」は、「人が集まっても、Win-Lose またはLose-Winの関係のなかでただ議論するだけでは、1+1<2という結果しか出ない」という意味で使っている。
フローは、もちろん「3人寄れば文殊の知恵」でなりたつ現象である。そこには、大げさな言い方をすると、正ー反ー合という弁証法的な問題解決のプロセスが期待できるのです。(続く)

このような現象は、一般的には、組織内で特定の目的のためにプロジェクトチームを発足させるときに見られるこだ。
プロジェクトチームは、一般的に次のような特徴をもっている。

①チームの目的、目標が明確である。
②メンバーの役割は初期の段階でははっきりしていない。
③メンバーが協力しないと目的の成果がえられない。
④いつまでに成果を出す必要があるか期限が設定されている。

このようなチームは、メンバーを集めたからといってすぐに機能的なチームになるとは限らない。選ばれたメンバーは、最初のうちこそ新鮮な気持ちでチームに臨むが、そのうち、なかなか方針と道筋が決まらないでいると、無秩序といっていいほどの段階を踏むことになる。
その状態を克服して生産的なチームになっていくには、いくつかの段階を踏むことになる。
K・ブランチャードとD・カリューおよびE・P・カリューは、一般的に次のような4つの段階を経て、チームとして成長していく姿を描いている。(続く)。

一方、K・ブランチャードとD・カリューおよびE・P・カリューは、一般的に次のような4つの段階を経て、チームとして成長していく姿を描いている。(「1分間マネジャーのチームワーク」ダイヤモンド社)

 第一段階:目標達成への方向づけができる(オリエンテーション)
 第二段階:不平不満が噴出する(不平不満)
 第三段階:不平不満が解決される(問題解決)
 第四段階:熱気に溢れ成果を生む(生産)

このうち、チームがフロー状態になるのは第四段階だけだ。つまり、チームが生まれたからといって、すぐにフロー状態になることはない。いくつかのステップを経て、フロー状態に達する条件が整うのだ。
ということは、世の中には沢山の組織があるが、フロー状態にあるのはそのうちのわずかな数しかない、ということである。(続く)。
それでは、この第四段階というのは、具体的にはどのような特徴をもっているか。
彼らは次の7つをあげている。

①チーム活動に参加することが非常に楽しく感じられる。
②チーム全体、ないしはそのサブグループと協力し合いながら、あるいはお互いに依存し合いながら仕事を進める。
③チームの力を感じる。
④課題を達成することに強い確信をもっている。
⑤リーダーシップを分担する。
⑥前向きに、課題を達成できると思っている。
⑦つねに、高い業績を維持する。

これらを見ていて気づくことは、①~⑥はプロセスの問題であり、その状態を維持できれば、⑦の結果(つねに高い業績を維持する)が出てくるという点である。
現在の日本では、成果主義の考え方が取り入れられて、プロセスは不問にされることが多いが、フローというプロセスを重視することこそ成果につながるという意味では、成果主義とは正反対の考え方であるといえよう。
人はどんなときに自分の能力を発揮していると感じるのだろう?
子どもからは「好きなことに夢中になっているとき」という答えが返ってきます。大人はどうか。
大人は「好きなことに没頭していて、自分の思い通りにことが運ぶとき」と答えます。
スポーツ選手は「雑念が入らず、その競技に没頭していて、身体がスムーズに反応するとき」と答えます。
三者三様に見えますが、実は同じことを言っているということがわかります。キーワードをあげると次のようになります。

・「好きなことをしている」
・「夢中になっている(没頭している)」
・「ものごとが思い通りに運ぶ」
・「雑念がはいらない」
・「身体が自然に反応する」

つまり、「あること(多くの場合好きなこと)に夢中になっていて、自分の望むようなことが自然にできること」ということができます。
そのとき、人の脳の中である変化が起こっています。すなわち、脳は「快」の状態になっているのです。人は快感を覚えると、脳の中ではA10神経といわれるところから神経伝達物質ドーパミンが分泌されます。それによって快感神経のスイッチがオンになり、脳が覚醒し、集中力が高められていく。興味や関心があることに自然と打ち込めるのは、こうした脳内の働きがあるからといわれています。