ブルズとレイカーズを優勝させた、トライアングル・オフェンスの解説
バスケットボールをやっている人なら、トライアングル・オフェンスという言葉を聞いたことがある人は多いだろう。NBAで合計11個ものチャンピオンリングを獲得した名将、フィル・ジャクソンがシカゴ・ブルズとロサンゼルス・レイカーズで導入し、両チームで3連覇を達成したときに使われていたオフェンスシステムが、トライアングル・オフェンスだ。
これほど有名なオフェンス・システムはないと言っていい。だが同時に、このオフェンスほどよく理解されていないオフェンスも珍しい。名前は知れども詳しくは知らないという人が大勢いる。これは簡単なようで複雑だといわれているこのシステムの性質が原因だ。このシステムは「決まりごとはあるが、決まりごとを破っていい」という、すぐには理解できない原則に支えられているシステムだ。
このオフェンスを理解するためには電話帳1冊分の厚さの説明を読まなければいけないと言われている。だがそこまでの詳細を理解しなくとも、このオフェンスの概観を理解することは十分に可能だ。ここではできるだけシンプルに、トライアングル・オフェンスの解説を試みてみよう。
トライアングルの場所と基本的なポジション
トライアングル・オフェンスは三角形を作って攻めるオフェンスだと理解されている。これは浅くシンプルにこのシステムを理解するには役に立つ言葉だ。基本的には、下の図がトライアングル・オフェンスにおける各選手のポジショニングとなる。
このようにボールマンのウィング、コーナー、ポストに選手を配置してトライアングルを作る。残りの2人はトップと逆サイドのポストに位置する。これが基本的なポジショニングだ。
注意して欲しいのは、この形を作ること自体をディフェンスがボディチェックや過度なプレッシャーによって防ごうとしてきた場合に、オフェンスがポジションチェンジを行ったり、裏をかいてシュートまで持ち込んでしまう動きも含めてトライアングル・オフェンスだということだ。
例えばもっともオーソドックスな形として、スタックからトライアングルのポジションを形成しようとすればこのような形になる。トップからウィングへパスをした選手が、コーナーへと切れていく形だ。
ところが、どうしてもトライアングルを形成させたくないディフェンスが、ウィングへのボールの供給を防ごうとオーバーにディナイを試みる場合もある。このような時はトライアングルの形成にこだわらず、すかさずバックドアのプレイに移行してしまう。
もしくは、ガードがそのままウィングへとボールを運び、ウィングがコーナーまで下がる。
トライアングルオフェンスの図解
また、ウィングにボールが入ったがトップの選手が厳しいボディチェックにさらされるようなら、逆サイドの選手をコーナーへ移動させてトライアングルを形成させる。これらの過程でディフェンスがオーバーなディナイを行えば、すかさずシュートまで崩しにいってしまうのだ。
このように「トライアングルをもし作れないようにディフェンスされた場合にどうするか」ということの共有も、トライアングル・オフェンスの一部なのだ。確かにこれらのパターンを詳細に決定していけば、電話帳一冊分の厚さになることは理解できるだろう。だがNBAのチャンピオンチームになろうとしない限り、チームにはある程度の原則、パターンがいくつかあれば十分だ。自分のチームにあわせて臨機応変に対応しよう。
まずはポストからのオフェンスを試みる
では首尾よくウィングにボールが供給され、トライアングルの形が出来上がったのなら、どのようにオフェンスを仕掛けていくべきだろうか。このオフェンスの第一の原則から言って、ボールサイドのポストマンにボールを供給することがまず意識されるべきことになると覚えよう。
このポストマンは必ずしもセンタプレイヤーである必要はなく、場合によってはジョーダンやコービーなどのアウトサイドのプレイヤーもここでプレイする。ただブルズよりもレイカーズの方がうまくこのシステムを生かしたといわれているのは、シャックという絶対的な支配力の選手がいたからだ。まずこのポストマンにボールが渡ることが原則なので、このポジションの選手にある程度の得点力があればオフェンス力は増す。
まずはウィングからポストマンにボールを入れよう。大切なのは他の三人が、ウィングに対してレシーバーになる動きを意識することだ。詳しくはのちに述べるが、ウィングからポストマンにボールが入らなかった場合、この3人の動きが非常に重要になるのだ。
ウィングからパスが入り、ポストマンがボールを保持したら、他の4人はポジションチェンジやスクリーンを駆使した動きに入る。例えば下の図のように、ボールサイドではポジションチェンジをし、逆サイドではバックスクリーンによるカットを試みる。
ボールサイドでの動きに注目しよう。この「動いている」ということが大切なのだ。例えば動きがない状態でコーナーのディフェンスがポストマンに寄って行けば、彼はコーナーのオフェンスへのパスを防ごうと手をあげることもできるし、コーナーへのリターンパスに反応して素早く戻ることもできる。
しかしポジションチェンジを行っていれば、コーナーからポストマンに寄ったディフェンスが、ウィング付近のオフェンスへのパスを妨害したり、素早く反応することは位置関係的に困難になる。単純なポジションチェンジだけでも、シュートチャンスを演出しやすくなるのだ。
逆サイドの動きも見てみよう。トップの選手へのバックスクリーンは非常に成立しやすい。ポストについているディフェンスは、がら空きとなったローポストをケアするために下がらざるを得ない。そうすれば、スクリーナーはハイポストからのフリーのシュートチャンスを得られるだろう。
パターンはこれだけではない。たとえばボールサイドでダウンスクリーンをかけて、ポストマンからの手渡しパスでゴールに迫るパターン。逆サイドでシュートのできるポストマンをあげて、トップの選手がサイドへ開くパターン。
ボールサイドでコーナーでのシュートチャンスを作り、逆サイドではポストマンのバックドアを狙うパターン。
などなど、ポストマンにボールが入った瞬間に、両サイドでチャンスを作る動きを開始する。選手それぞれの得点パターンやシュート精度を吟味することで、もっとも良いバリエーションによってオフェンスを構築することができるだろう。もちろん、ポストマンがそのまま攻めていっても構わない。
肝心なのはボールマン以外の選手がこれらの動きをしているとき、ディフェンスはポストマンにうかつに寄れないということだ。単純に寄ってしまえば、フリーの選手への単純なパスが通って、よい形でのシュートを打たれてしまう。だからこのオフェンスでは、ボールを保持するポストマンが強力だとディフェンスは非常に悩ましい状態に置かれる。強力な1on1をヘルプによってカバーすることが難しくなるからだ。
これがトライアングルオフェンスで狙うべき第一の形だ。では、ポストマンへのディナイが行われウィングからボールが供給できない場合はどうするべきなのか。
ウィングからボールが入らない場合
ボールサイドのポストマンが高すぎも低すぎもしない正しい位置取りをすれば、おのずとディナイをするディフェンスの位置は定まる。
というのも、例えばディフェンスがフルフロント(完全に前に入る)でパスコースを切った場合、すでに述べたように逆サイドのポストマンがハイポストに上がる動きをすることで、裏へのパスが可能になる。
ディフェンスが残っていた場合、ハイポストでフリーのシュートが打てる。
トップのディフェンスがハイポストをケアする場合は、トップからフリーのシュート、または後に触れるトップのボールマンからのパターンに移行できる。
というわけで、ディフェンスはフルフロントで守ることは難しい。ではサイドライン側からケアしてくる場合はどうだろうか。この場合も、ポストマンはゴール側へ単純にスライドすればいいことになり、決定的なチャンスになってしまう。
だからディフェンスがディナイをするときは裏をとられないようにしつつ上からかぶる様な形になる。角度のない場所でボールをもらわせれば、エンドラインを味方にできるし、パワープレイからの縦足も難しくなるため、ディフェンスとしては有利だと考えられる。
では、このようなディナイをされた場合はどうするのか。ウィングのパッサーには3つの選択肢が用意されている。
コーナーの選手のパターン
コーナーの選手がボールをもらうことができれば、上からかぶるディフェンスを押さえつけることでポストマンにボールを入れることが可能になる。その後は先に説明したようなパターンに入ればいい。
また、コーナーのディフェンスもディナイが激しいようであれば、ポストマンがほんの少し外へ出てあげることでバックドアが成立する。逆サイドの選手は上へ向かっているので、ゴール下はがら空きだ。
トップの選手のパターン
トップの選手へのパスを供給すれば、主に2つの選択肢が生まれる。一つはピックアンドロールだ。がら空きのサイドを使って、トップから強力なコンビプレイを仕掛けることができる。スクリーナーではないポストマンがあがり、逆サイドでポジションチェンジが行われることで、スクリーナーへのパスを防ごうとヘルプが寄っても、ハイポストや逆サイドでのシュートチャンスが生まれる。
もう一つはエルボーに移動したポストマンへパスを出し、インサイドスクリーンによるハンドオフパスからシュートを狙うパターンだ。これをピンチポストと言う。ディフェンスの原則としてエルボーへのディナイは非常に難しいし、ポストマンのディフェンスはうかつにオーバーヘルプすることはできない。ボールマンに広いスペースとヘルプが寄りづらい状況を与えられる点が好ましい。
もしもトップがディナイをされている場合、ハイポストの選手にパスを渡せば、すぐにバックドアのチャンスを作ることができる。トップがスピード豊かな選手の場合、ディフェンスは苦しむことになるだろう。
ハイポストの選手のパターン
この選手はファンダメンタルがしっかりしていなければならない。というのも、ターンやカットなどしっかりとボールをもらう動きができること、状況を適切に判断して正しくパスを送れること、フリーならば積極的にシュートを狙うことがここの動きには大切で、そのために見たり止まったりといったバスケ選手としての基礎能力が求められるからだ。
たとえばハイポストの選手はこういう動きができる必要がある。これはハイポストでボールをもらう動きに対してオーバーヘルプしたディフェンスの裏をとる動きだ。この動きができることで、ハイポストでボールをもらうことが簡単になる。逆に言えば、裏をとる動きができなければハイポストでのディナイを振り切ることは難しく、トップの選手もボールをもらえないのであれば、ボールと逆サイドの攻撃の展開は非常に難しくなってしまうだろう。
この位置でボールをもらう恩恵は計り知れない。判断を間違えなければ、先に述べたようなトップの選手へのバックドアやピンチポストのプレイを実行できるし、ディフェンスとの兼ね合いで瞬間的にドライブを試みてもいい。ヘルプが寄りづらい分、思い切っていけるはずだ。
最大の恩恵はなんといってもハイアンドローを仕掛けられることだろう。ポストマンが低すぎない位置にいない限り、一瞬のターンでハイローを実現できる。自チームのポストマンが強力な場合、このパターンは非常に頼りになるものになる。
このように、このポジショニングをする選手の判断やプレイの質は、トライアングルオフェンスのクオリティを大きく左右するだろう。
トライアングル・オフェンスの特徴
以上がだいたいのトライアングル・オフェンスのパターンだと考えてもらいたい。このシステムで特筆すべきなのは、ウィングからフィニッシュに至るまでの道筋はいくつもあり、どのような展開を作り上げるかはその時々で選手たちに自由が与えられていることだ。ポストにボールを渡すことを第一に考えつつも、その他のパターンでもディフェンスを効果的に崩していくことができる。
つまりこのオフェンスはある程度の地図はあるものの、実際には選手たちの自由な裁量を保障しているシステムなのだ。ガチガチのナンバープレイではない。フリーオフェンスではないが、ある程度の型を示すことでかえって選手たちの意思共有、状況判断を容易にし、その時々で相手の状況によって自由にオフェンスすることを奨励しているのだ。
例えばレイカーズのトライアングル・オフェンス集を見てほしい。基本的なポジショニングをとりつつパスを回し、ボールマンが局面の中で自由にゴールへ迫っているのがわかるはずだ。
結局のところシュートを決めるのは一人であり、よいシュートを打つために誰かがディフェンスをやっつける動きは必要だ。トライアングル・オフェンスはその強力な補助になる。原則的な動きをしっかりと実行することと、ディフェンスをよく見て責任を持って仕掛けること。その両方が必要だ。
考案者のテックス・ウィンターは「このシステムにはバスケットボールのすべてのオフェンスが含まれている」と言った。自チームの強みにあわせて、相手の弱みにあわせて攻めることができるので、フィル・ジャクソンはこのオフェンスを激賞し、傾倒したのだ。
このシステムを使用するためには、選手たちにある程度の能力がなくてはならない。パスやドリブルやシュートが上手いということではない。それはしっかり止まって相手の状況をよく見れる、どのように動けばチャンスになるかがわかる、自分がチャンスだと気づける、味方のチャンスに気づいて正確なパスを送れるといった、一朝一夕では身につけられない能力だ。
シンプルで効果的なオフェンスであるトライアングル・オフェンスを、多くのチームが簡単に導入できないのはこれが理由だ。システムを理解すればよいオフェンスができるわけではない。まずは一人ひとりが、このオフェンスを実行できるほどの能力を身につけなければならない。そして結局はシュートを沈める高いオフェンス能力を持たなければ、このオフェンスは脅威とはならない。
このシステムの良い点は、ボールやチャンスを均等にシェアできる点だ。また、相手チームや自チームの強みにあわせて、得点力の高い選手に意図的にチャンスを与えることもできる。やり方によっては、自分たちの得意なパターンを強調して組み込むことも可能だろう。チームの基礎能力がある程度あると思うのなら、このオフェンスを試してみて欲しい。
Triangle Offense
日野台では、基本的なフロアバランスを図aのように考えています。
ゴール前のプレーヤーにボールが入れば90%以上シュートを狙うべきです。
ショートコーナーにボールが入れば、図Cのようにウイングからゴールカッティングを狙い、トップから空いたウイングに走り込みショートコーナーからパスを受ける。ウィングからカッティングしたプレーヤーはインサイドでパスをを受ける準備をしておく。
図bのようにコーナーにボールが入れば、図cと同様にウイングからゴールカッティングを狙い、トップから空いたウイングに走り込みコーナーからパスを受け、ウィングからカッティングしたプレーヤーはインサイドでパスをを受ける準備をしておく。
図dでは、下からトップへ上がってきたプレーヤーにボールを回し、モーションカットをしたプレーヤーにパスを入れる。コーナーもしくはショートコーナーでボールを受けることができれば、図b、cのプレーが展開できる。
図b~eのプレーの中でチャンスがあれば1対1を狙い、自由にプレーできることが理想です。上のプレーはあくまでも基本的なプレーであり、状況に応じて臨機応変にプレーできるようにすることが大切であると考えています。
原則
守りをペネトレート(突破)しなければならない
ショート17(5m)のスペースをとる
全てのショットに対してリバウンドポジションを取る
ボーラーはチームメイト全員にパスができること
3秒以上同じ場所に止まらないこと
基本的4メンカッティング
4メンスクリーン
ピックプレー
(ハイピック)
(サイドピック)
Early Offenseの基本プレー
現在、日野台の基本のプレーです。
プレーヤーの入れ替えと縦パス(ゴールアタック)を組み合わせたプレーになっています。ここでもこれはあくまでも基本であり、状況に応じて臨機応変にプレーすることが求められます。
セカンダリーブレイク(フレックス)からハーフコートオフェンス(パッシング&カッティング)
Defenseの基本プレー
現在、日野台のDefenseの基本です。ウィングのディフェンスは方向付けを意識しながらワンアームの間合いで守ります。トップのディフェンスはディナイをします。狙いはボールをコーナーへ追い込む事です。フォアサイドのウィングのディフェンスはタグポジション(上)をとります。この時、ディフェンスのスタンスはパスラインに平行にします。フォアサイドのコーナーのディフェンスもタグポジション(下)をとります。このディフェンスのスタンスもパスラインに平行です。
ウィングのボーラーがドライブインを してきました。タグボジション(下)のディフェンスはペイントエリアへの侵入を阻止します。タグポジション(上)のディフェンスはカバーダウンします。トップのディフェンスはタグポジション(上)をとります。フォアサイドのオフェンス2人を一人で守ります。
リバウンドについて
Aエリアからのショットは 95%確率でAエリアに落ちます。
Bエリアからのショットは 75%確率でBエリアに落ちます。
Cエリアからのショットは 90%確率でCエリアに落ちます。
1エリアからのショットは 70%確率で逆側の1エリアに落ちます。
2エリアからのショットは 50%確率で逆側のエリアに落ちます。
3エリアからのショットは 60%確率でシューター側に落ちます。